熱間鍛造 株式会社ASAHI FORGE様

実機トライからの脱却!DEFORMで進化する鍛造現場の高度活用事例

株式会社ASAHI FORGE様

株式会社ASAHI FORGE

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創業
1938年1月
設立
1953年5月
事業内容
自動車をはじめ、建設機械・工作機械・車両・風力発電等に使用される熱間鍛造品の開発、製造、販売
主要拠点
〒501-3772 岐阜県美濃市楓台72-2
従業員数
単独:726名 / 連結:1048名(2025年9月末現在)
導入時期
2001年
ライセンス
DEFORM-2D(2001年導入)/ DEFORM-3D(2007年導入)
主な活用機能
材料流動・成形成立の可視化と工程検討への活用

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DEFORM活用のポイント

現場で実現している価値

導入後の成果

  • 材料流動や充填状態、成形成立性を事前に可視化し、設計・工程検討の手戻りを削減
  • 実機トライに頼らず、シミュレーション上で成形条件や工程の妥当性を検証
  • DEFORMを起点に、設計から製造・出荷まで一気通貫でつなぐ製造プロセスを確立

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導入の背景

試作に頼る鍛造からの脱却

経験と試作に頼るしかなかった鍛造現場

かつての鍛造現場では、ブランク材の大きさや重量、切断長さといった初期条件、金型仕様まで含め、設計だけで決めきることは難しく、「実機での試作」を通じて詰めていくのが一般的でした。似た形状の製品であれば、「この形で中間工程を打てば、おそらく仕上がるだろう」といった経験値をもとに条件を決め、「実際に鍛造して確認する」という進め方が主流でした。

例えば、ブランク材の重量設定においても、製品重量に対してプラスマイナス10gずつ異なる材料を複数パターン用意し、それぞれを実機でトライ。「この重量では形にならない」「この条件ならいけそうだが、まだ不足しているかも…」と試行錯誤を繰り返しながら、最適条件を探っていく必要がありました。
最終的には、やや余肉を持たせた状態で鍛造し、後工程の切削で製品形状に仕上げる、といった判断が取られるケースも少なくありませんでした。

 

アサヒフォージ様の鍛造成形現場の様子

シミュレーションは「不具合対策」のためのツールだった

㈱ASAHI FORGE様がDEFORMを導入されたのは、2000年代初頭に遡ります。当時の業界内は、簡易的な金型モデルを用い、粘土などを押しつぶして材料の流れを確認するといったアナログな手法が主流であり、鍛造現象の把握や検証には大きな制約がありました。

そのような中で導入されたDEFORMも、当初は主に「不具合対策」のためのツールとして活用されていました。実機で問題が発生した際に、その原因を解析し、どの工程や条件に起因するのかを可視化する――いわば、トラブルシューティングのための“後追い”の用途が中心だったのです。

2010年頃までは、このような使い方が主流であり、シミュレーションはあくまで補助的な位置づけにとどまっていました。

試作前に“決める”という発想への転換

しかしその後、DEFORMの活用は徐々に変化していき、次第に「試作前にシミュレーションで検証する」という使い方へとシフトしていきました。
特に大きな変化が現れたのが、ブランク材の重量設定や材料流動の予測といった工程です。従来は複数パターンの試作を繰り返し決定していた条件を、シミュレーション上で事前に検証し、最適な値を導き出すことが可能になりました。

その結果、実機での試作は、ほぼ一度のトライで成立するケースも増え、これまで当たり前とされてきた試作回数や手戻りは大幅に削減されています。鍛造プロセスにおける意思決定は、「やってみて判断する」ものから、「事前に検証して決める」ものへと大きく変化したのです。

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導入後の成果

DEFORM起点の設計と高速立ち上げの実現

中間工程の設計を左右する、材料流動と充填タイミングの制御

鍛造成形において最終製品の品質を左右するのは、仕上げ工程だけではありません。中間工程において、材料の体積配分や充填状態をいかに適切に整えるかが、成形の成否を大きく左右します。

特に自動車部品では、鍛流線(メタルフロー)による強度確保が重要であり、材料の流れが変わることでその状態も変化してしまいます。そのため、大きな設計変更が許されない中で、試作による調整には大きな制約が伴っていました。

 

 

※上記シミュレーション画像は、実際の製品形状とは異なる類似モデルを用いて再現したイメージです。

 

こうした課題に対し、大きな変化をもたらしたのがDEFORMによるシミュレーションの活用です。
例えば、ハブ形状のように上部ボス、下部ボス、リブといった複数の形状要素を持つ製品では、それぞれの部位に対して「どのタイミングで材料を充填させるか」が重要になります。一部の部位に先に材料が充満すると、その箇所で流動が止まり、他の部位へ流入する際に過剰な負荷が発生します。これが金型破損の要因となるケースも少なくありません。

そのため理想的には、各部位に対してできるだけ同じタイミングで材料を充填させる必要があります。しかし、こうした材料の流動順序や挙動は金型内部で起こるため、従来は直接確認することができませんでした。

DEFORMを活用することで、材料流動の挙動や各部位にかかる負荷の分布を事前に可視化することが可能になります。これにより、「どの工程で、どのような形状にすれば安定した成形が成立するか」を、試作前の段階で検証できるようになりました。

DEFORMを起点とした独自の製造プロセス

㈱ASAHI FORGE様では、DEFORMを活用したシミュレーションを起点に、設計から製造・出荷までを一気通貫で進める独自の製造プロセスを構築しています。

まず、シミュレーションにより材料の体積配分や必要重量を事前に確定できるため、図面の書き始めの段階で、金型と製品に使用する材料条件まで見通しを立てることが可能です。
例えば、設計初日にはある程度の金型図面を作成し、その日のうちにシミュレーションを実行。解析は退社前に実行しておけば、概ね翌日には結果が得られます。その結果をもとに「この形状で成形可能」と判断できれば、金型の材料サイズおよびブランク重量が確定します。

 

アサヒフォージ様の現場風景

ここからの工程スピードが、同社の大きな特長です。
確定した材料は社内で即座に切断され、そのまま金型製造工程へと移行します。一般的には材料手配を外部に依頼するため、ここだけで1~2週間を要するケースも少なくありませんが、同社ではすべてを社内で完結できるため、リードタイムを大幅に短縮することが可能です。

さらに、金型製作においては「切削」「熱処理」「仕上げ」といった各工程を社内で連続して行えます。通常、工程ごとに外部手配や待ち時間が発生しますが、同社ではすべてを社内で完結できるため、設計確定後すぐに次工程へと移行できます。

一方で、鍛造に用いるブランク材についても、初期シミュレーションの段階で重量が確定しているので、あらかじめ切断準備を進めておけます。そのため、金型完成のタイミングに合わせて、スムーズに試作工程へと移行できるのです。

 

アサヒフォージ様の鍛造成形現場の様子

このように、シミュレーションによって設計初期段階で意思決定を完結させ、その結果を起点に各工程を連続的に接続させる。結果、従来では考えられなかった短期間での立ち上げが実現されています。

シミュレーションデータの蓄積と、組織全体への浸透

さらに特筆すべきは、シミュレーションを通じて蓄積されてきた知見の存在です。成功した条件だけでなく、過去の失敗事例や検証結果も含めてデータとして蓄積されており、新規製品の検討時には、これらを活用した高精度な意思決定が可能となっています。

現在では各工場から解析依頼が寄せられるなど、DEFORMは設計・開発プロセスの中核として機能するようになっています。個別課題の解決にとどまらず、全社的な技術基盤として活用されている点も、大きな特長といえるでしょう。

 

かつてはベテラン技術者の経験として属人的に蓄積されていた知識が、シミュレーションを通じて組織全体の資産へと転換されている――。このような知見の蓄積と活用の循環が、他社には容易に模倣できない競争優位を生み出しています。

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QA

お客様の声

現場に根付くDEFORM活用と今後の展望

今回の導入事例では、㈱ASAHI FORGE様におけるDEFORM活用の実際について、美濃第二機械加工工場所属 開発本部 技術部部長のF.K様にお話をうかがいました。
現在の運用体制や活用効果、ヤマナカゴーキンのサポート対応、今後の展望について、現場および開発の視点からご紹介します。

DEFORMは現在どのような体制で運用されていますか?

現在は、美濃工場と白鳥工場の2拠点でそれぞれ1台ずつDEFORMを導入し、各工場で担当者を中心に運用しています。美濃工場では若手スタッフが主に操作を担当。白鳥工場では次長が担当しています。

美濃工場の担当者は2025年9月からDEFORMを扱い始め、解析を一通り実行できるレベルまではおよそ3か月程度で習得しています。今後は、長期休暇時の対応や業務分散を見据え、美濃工場・白鳥工場ともに後継者の育成と人員の拡充を進めていく方針です。

 

アサヒフォージ様社内でのDEFORM運用の様子

また、DEFORMは特定の案件に限らず、日常的に稼働しています。新規の試作案件がない場合でも、量産中の製品に対して「形状を見直せば応力を低減できないか」といった現場からの検討依頼が寄せられるため、日々シミュレーションを実行しています。

多くの場合、退社前に解析をセットし、翌日に結果を確認するという運用の流れが定着しています。

ヤマナカゴーキンのサポートについてどのように感じていますか?

基本的にはメールでのやり取りが中心ですが、技術的に踏み込んだ内容や複雑な質問をした際には、サポート担当の方から折り返しの連絡をいただき、電話で丁寧に対応していただいています。「こういった解析を行いたいのですが、どのように設定すればよいか」といった具体的な相談に対しても、非常にタイムリーに回答をいただける印象があります。
また、鍛造の技術的な要素を含んだ専門的な質問に対しても、こちらの意図を汲み取ったうえで、レベルの高い回答を提示していただけています。

いただいたアドバイスをもとに解析条件を見直すことで、シミュレーションの精度や再現性が向上している実感もあります。我々の試行錯誤に対して、サポート側も同じように試行錯誤しながら伴走してくれている、という印象です。

現在では社内に知見も蓄積されているため、基本的な操作で困ることはほとんどありませんが、より高度な検討や新たな解析に取り組む際には、引き続き支援を期待しています。

 

DEFORMを活用した今後の技術展開について教えてください

現在は、リングローリングと鍛造を組み合わせた「複合鍛造」のさらなる高度化に取り組んでいます。今後は、この技術を発展させ、歯車形状の成形など、新たな加工プロセスの確立にも挑戦していきたいと考えています。その検討においても、DEFORMのシミュレーションを活用し、成形成立の見極めや材料流動の把握を根付かせたいと考えています。

 

アサヒフォージ様の製品写真

また、この分野への対応力を高めるため、ヤマナカゴーキンさんの東京工場にてトレーニングを実施する予定もあり、より高度な解析に向けた準備を進めています。今後の技術革新においては、DEFORMの活用はもちろん、トレーニングを通じた解析技術力の向上にも大きな期待を寄せています。

そして、実際に活用を進める中で感じているのは、DEFORMに限らず、CAEシミュレーションそのものの有用性の高さです。自社としてもDEFORMを使いこなせるようになったことで、これまでには考えられないほどの価値を実感しています。
もし、まだ未導入で真剣に導入を検討されている企業様がいらっしゃれば、ぜひ情報交換をさせていただければと思います。

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導入企業様の紹介

量産品質での試作実現、鍛造専業メーカー

株式会社ASAHI FORGE様

㈱ASAHI FORGE様は、創業88年の歴史を持つ鍛造専業メーカーです。長年にわたり鍛造技術を磨き続けてきた同社は、自動車部品を中心に、ホイールハブや、等速ジョイントベアリング部品など、強度と精度が求められる分野で豊富な実績を有しています。

 

アサヒフォージ様の製品写真

同社の大きな特長は、多品種少ロットにも対応できる柔軟な生産体制にあります。切断・加熱から金型設計・製作、鍛造までを一貫して社内で対応できるため、試作段階においても迅速な立ち上げが可能です。

さらに、DEFORMによるシミュレーションを活用することで、試作でありながら量産と同等レベルの完成度・精度を早期に実現できる点も大きな強みとなっています。
また、一般的に普及しているQDC(クイックダイチェンジ)に依存しない従来型の段取り方式を活かし、金型交換や条件変更において高い対応スピードを確保している点も特徴です。これにより、量産ラインを大きく止めることなく試作対応を行えるほか、お客様からの細かな要望にも迅速に応えることができます。

 

こうした体制により、開発初期の段階からプロジェクトに参画し、量産を見据えた「高品質な試作製品」を提供できる点は、同社ならではの価値と言えるでしょう。実際に、国内大手自動車部品メーカーとの長年の取引実績に加え、アメリカにも生産拠点を展開し、鍛造専業メーカーとして現地でも事業を成立させている点は、同社の対応力を示す大きな特長の一つです。

 

アサヒフォージ様の美濃本社・工場の外観

長年の鍛造技術に裏打ちされた現場力と、シミュレーションを活用した高度な工程設計力を併せ持つ同社。鍛造分野における高付加価値なものづくりを支える存在として、今後さらなる技術発展が期待される企業様です。

担当者からのひとこと

From Yamanaka Eng staff

S.A

㈱ヤマナカゴーキン 営業部 主任

ASAHI FORGE様のDEFORM活用で特に印象的だったのは、解析データや不具合事例を、型番ごとに丁寧に整理・蓄積されている点です。
実機で発生した不良に対しても、シミュレーション上で現象を再現し、その原因を検証したうえで社内資料として共有されていました。DEFORMを単なる解析ツールとしてではなく、自社の技術資産として活用されている姿勢には、私たちも大変学ばせていただいています。

2026年には、リングローリング工法へのDEFORM活用を実務に落とし込むため、弊社の東京工場でのトレーニングにご参加いただく予定です。
2日間はリングローリング解析を中心に、3日目にはリングローリング設備を活用した新工法への展開も見据えた内容を予定しています。DEFORMを業務、さらには事業の発展に活かそうとされるASAHI FORGE様の姿勢に、私たちも大変刺激を受けています。今後もその挑戦を支えられるよう、営業・CAEチーム一丸となってサポートしてまいります。

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