冷間鍛造 株式會社月星製作所様

冷間鍛造の「やってみないと分からない」を解消!DEFORMによる成形検討と提案力強化

冷間鍛造の「やってみないと分からない」を解消!DEFORMによる成形検討と提案力強化

株式會社月星製作所

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社名
株式會社月星製作所
設立
1947年4月16日
事業内容
自動車用特殊精密部品・オートバイ用特殊精密部品・産業機械用部品
本社
〒922-8611 石川県加賀市永井町71-1-1
従業員数
510名(2025年6月現在、グループ会社を含む)
導入時期
2005年
ライセンス
DEFORM-2D / DEFORM-3D
主な活用機能
材料流動・充填率の可視化と、鍛造提案への活用

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DEFORM活用のポイント

数値・ビジュアル・3D造形で、鍛造提案の説得力を高める

費用対効果を高める活用ポイント

  • ローレットの充填不足やバリ発生に対し、金型の入口形状をDEFORM上で検証
  • 充填率や応力分布をもとに、製品形状と金型寿命のバランスを事前に検討
  • 解析結果を数値・ビジュアル・3D造形で共有。顧客説明の説得材料として活用

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導入後の成果

入社前から製品開発の現場にあったDEFORM

今回取材にご協力いただいたのは、開発部 製品開発課 課長のY.M様です。株式會社月星製作所へ入社されて以来、冷間鍛造での製品開発や工程検討に携わってこられました。
同社では、Y.M様が入社する以前から、冷間鍛造工程のCAE解析ツールとしてDEFORMを導入していました。

Y.M様とDEFORMとの接点は、大学4年生の頃にさかのぼります。当時、Y.M様の出身大学と月星製作所様では共同研究が行われており、その研究の中で、DEFORMを用いた解析や検証が進められていました。入社した時点では、社内にはすでにDEFORMが展開されており、Y.M様は入社当初から現在に至るまで、継続してDEFORMに携わってこられました。

 

入社直後は、ヤマナカゴーキンの千葉県にある工場で3日間のトレーニングを受講いただきました。操作方法や解析の基本的な考え方を学んでいただき、実務の中でDEFORMを継続的に活用いただいています。

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活用事例①

ローレット成形における金型入口形状の最適化

【課題ポイント】― ローレット形状の充填不足とバリ発生

具体的な事例の一つが、とある「銅製品」のローレットの冷間鍛造成形です。

 

ローレット形状をもった自動車部品
一般的な加工条件では、一定の加工率までは材料が金型内へ流入するとされていました。しかし実際には、銅素材が想定通りに金型へ入っていかず、金型入口付近で材料が外側へ盛り上がり、バリとなってしまう不具合が見られました。

さらに、ローレット形状の山部に対しても、金型形状どおりに材料が充填されず、山の先端まで成形できないという課題がありました。本来得たい断面形状に対し、実際の鍛造品では山の高さが不足し、十分な形状精度を確保できない状態でした。

 

ローレット形状のシミュレーション画像

 

※上記のシミュレーション画像・動画は、実際の製品形状とは異なる類似モデルで再現したイメージです。

 

改善に向けては、金型入口の形状を複数パターン検証する必要がありましたが、そのすべてを実際の金型でトライするとなると、当然、金型費や検証にかかる時間が膨大になります。
加えて、銅素材は材料費も高いため、実機トライの回数をできるだけ抑えながら、最適な金型入口形状を見極めることが求められていました。

 

【解決と成果】 ― ヤマナカゴーキンとの共同開発で得た知見を応用

この課題に対して月星製作所様が活かしたのが、以前、ヤマナカゴーキンと共同で取り組んだ「ギヤ製品」の鍛造成形における経験でした。

当時、同社では、ギヤ歯形)製品を今後の主力製品の一つとして展開したい考えがあり、ギヤ製品の鍛造金型の経験を豊富に持つヤマナカゴーキンとともに、金型設計から試作トライまでを進めていました。

その中で共有されたのが、

金型入口部の形状が、歯形や山形状への材料充填に大きく影響する

という知見です。また、DEFORM上で充填率を確認しながら、金型形状や成形条件を検討することで、実機トライの前に成形性を見極める考え方も得られました。

 

ローレット形状への充填の様子

※上記のシミュレーション画像は、実際の製品形状とは異なる類似モデルで再現したイメージです。

今回のローレットの冷間鍛造成形においても、その経験をもとに、金型入口の形状を複数パターン作成し、DEFORM上で材料の流れ方充填状態を検証。単に形状を変えて試すのではなく、どの部分を見れば成形の良否を判断できるのか、充填率をどのように確認すればよいのかといった視点を活かしながら、シミュレーション上で条件を絞り込んでいきました。

その結果、実際に複数の金型を製作することなく、金型形状と鍛造成形条件の最適化をシミュレーション上で検討することができました。金型製作や設計変更にかかるコスト、銅素材を使った実機トライの回数を抑えながら、プロジェクトを進められたことは、大きな成果となりました。

 

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活用事例②

数値と実物モデルで、鍛造加工への理解を促進

【課題ポイント】― 鍛造を前提としない図面と形状説明の難しさ

冷間鍛造は、切削加工機械加工)などと比べると、一般的に広く知られた加工方法とはいえません。そのため月星製作所様では、図面の確認や形状提案において、鍛造ならではの難しさに向き合ってきました。

お客様から支給される図面の多くは、切削加工を前提に設計されていることが少なくありません。しかし、鍛造では材料を金型内で塑性流動させながら形状をつくるため、切削加工のように鋭角な形状やシャープなエッジをそのまま再現できない場合があります。

例えば、

・ネジの頭部の角が丸くなる
・鋭角部に材料が充填されない
・部品端部にRが発生する

といった現象は、鍛造成形では避けにくい要素。そのため同社では、鍛造で成立させるために、図面の見直しや形状変更をお客様へ提案する必要があります。

 

鍛造金型の見本

従来は、これまでの経験や量産実績をもとに、「おおよそこの程度になる」というアバウトな形で説明・提案することが中心でした。しかし近年では、製品機能に関わる重要部位を中心に、

・どの程度丸くなるのか
・どこまでストレート部を確保できるのか

といった、より具体的な数値や根拠を求められる場面も増えています。

つまり、冷間鍛造の現場では、成形できる・できないを判断するだけでなく、その理由や仕上がり形状をいかに分かりやすく、具体的に説明できるかも重要な課題となっていました。

 

【解決と成果①】― 数値根拠をもとに、鍛造形状の合意形成を支援

こうした場面で、DEFORMによるシミュレーションが大きな役割を果たしています。

例えば、鍛造で発生する角部のダレや、充填しきらない部分について、シミュレーション上で複数の条件を比較。充填率を高めれば形状再現性は向上しますが、その一方で金型にかかる応力は大きくなり、金型寿命への影響も無視できません。
そのため同社では、単に「できるだけ充填させる」のではなく、金型が許容できる応力の範囲と、製品形状として許容できるダレ量のバランスをシミュレーションで見ながら、複数のパターンを検証しています。

 

※上記のシミュレーション画像は、実際の製品形状とは異なる類似モデルで再現したイメージです。

そして、その結果をお客様へ提示し、

「この条件であれば、ここまでの形状を狙えそうです」
「この数値を目標に進めるかどうか、ご判断いただけますか」

といった形で、設計段階から具体的な数値を用いてすり合わせを行っています。

「やってみないと分かりません」

では、製品開発の次のステップへ進むことはできません。
だからこそ、DEFORMによるシミュレーションで形状の見通しを可視化し、数値とビジュアルの両面から説明できることは、お客様との合意形成において大きな説得材料となっています。

 

【解決と成果②】― DEFORMの解析モデルを3Dプリンターで実物化

さらに同社では、DEFORMによる解析結果を、3Dプリンターとも組み合わせて活用しています。

DEFORM上で鍛造成形された形状は、「STLデータ」として出力することができます。そのデータをもとに3Dプリンターで実際に鍛造をする前に鍛造品サンプルを製作し、シミュレーション上で予測された形状を、実際に手に取って確認できるようにしています。

特に、鍛造で生じるダレやエッジ部の丸まりは、図面や画面上だけでは伝わりにくいものです。3Dプリンターで造形することで、「実際にはこのような形状になる」というイメージを、手に取って確認しながら共有できるようになります。

 

月星製作所の工場内写真

また、同社の鍛造機は横型のパーツフォーマーであるため、成形品の搬送時にロボットアームがどこを保持するか、問題なくつかめる形状かどうかを確認する必要があります。3Dプリンターモデルは、社内においてもこうした搬送・チャッキング位置の検討材料としても活用されています。

さらに、FMEA(故障モード影響解析)など複数部署が参加する検討の場でも、実物に近いモデルがあることで議論が進めやすくなります。解析結果を画面上のデータに留めず、手に取れる形にすることで、設計・製造・品質など、関係者間の認識合わせにも役立てられています。

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QA

お客様の声

現場に根付くDEFORM活用と展望

今回の導入事例では、株式会社月星製作所 開発部 製品開発課 課長のY.M様にお話をうかがいました。DEFORMの運用体制やサポート、そしてDEFORM活用を社内に広げていくうえでの想いについてご紹介します。

DEFORMは現在、どのような体制で運用されていますか?

現在、当社では開発部内の製品開発課と新製品開発室を中心に、約10名がDEFORMを活用しています。ライセンスはDEFORM-2D1ライセンス、DEFORM-3D2ライセンスで、冷間鍛造工程の検討や金型設計、試作前の成形性の確認などに使用しています。

以前は、トレーニングを受けた担当者が社内で次のメンバーへ教えていく形を取っていました。しかしその方法では、使い方や考え方が少しずつ個人ごとに偏ってしまい、組織としてDEFORMの活用レベルを高めていく難しさもありました。

そこで23年ほど前から、すでにDEFORMを使っているメンバーも含め、改めてヤマナカゴーキン様の正式なトレーニングを受講する機会を設けています。過去2年間は毎年3名ずつ、千葉県の工場でのトレーニングに参加しており、今年も23名が参加する予定です。

 

DEFORM操作中の様子

当社では、案件ごとに担当者が図面確認から鍛造工程の設計、金型設計、試作、改善、後工程の検討までを一貫して担当するケースが多いです。お客様への対応力という面では大きな強みですが、その分、一人ひとりに幅広い知識と判断力が求められます。

だからこそ、最初の設計段階でDEFORMを使い、成形性や材料流動、金型への負荷を事前に確認できることは、大きなアドバンテージだと感じています。経験や勘だけに頼るのではなく、シミュレーションによる判断材料を持てることで、設計・試作・改善の精度を高めていけるところに、DEFORMの価値を感じています。

 

ヤマナカゴーキンのサポートはどのように感じていますか?

3日間のトレーニングや月1回の定期オンラインミーティングなど、継続的にサポートいただける体制があり、とても安心感があります。

特に価値を感じているのが、毎年開催されているDEFORMユーザーグループミーティングです。DEFORMの最新情報に加え、ユーザー企業の活用事例において、「DEFORMをどう使い、現場でどのように価値を生み出しているのか」といった実践的な話を聞くことができます。

単なるソフトの説明会ではなく、実務でDEFORMを使う企業同士が、現場目線で学び合える場があることに大きな価値を感じています。

 

また、ヤマナカゴーキン様自身が、50年以上の実績を持つ鍛造金型メーカーである点も大きいです。ソフトの操作だけでなく、鍛造現場そのままの言葉で相談できるため、困りごとがDEFORM上の問題なのか、鍛造工程や金型設計に関わる問題なのかも含めて相談できます。

 

ヤマナカゴーキンが保有するプレス機. FPS-1200

一方で、当社側としては、まだサポートを活用しきれていない面もあります。

メールでの問い合わせはサポートチーム宛てになるため、誰に相談するのか分からず、少しハードルを感じるメンバーもいるのかもしれません。月1回のオンラインミーティングのように、同じ担当の方との関係性がメールや電話での相談にもつながると、より気軽に質問しやすくなると感じています。

非常に手厚いサポート体制があるからこそ、今後は当社側でもより積極的に活用し、DEFORMを使いこなす力を高めていきたいと考えています。

 

【DEFORMのサポート体制を知る】
> お客様とともに育ててきた支援体制 – ㈱ヤマナカゴーキンが築いた現場起点のCAEサポート

 

改めて、DEFORMのどのような点に価値を感じていますか?

DEFORMは、社内でもっと広めていきたいツールだと感じています。自分自身もまだ使い切れていない部分はありますが、活用の幅を広げていけば、月星製作所にとってさらに価値ある存在にできると思っています。
特に、次世代を担う若い技術者には、積極的に使ってもらいたいです。

鍛造や塑性加工は、現場で培われてきた技術やノウハウに支えられている部分が大きい工法です。成形後の結果や過去の成功体験、ベテランの勘をもとに判断してきた場面も多く、鍛造を知らない人にその現象を伝えることは簡単ではありません。

 

鍛造品の写真

しかし、DEFORMを使えば、これまで想像するしかなかった金型内部の材料流動や応力分布、金型への負荷を、ビジュアルと数値で確認できます。

「材料がこう流れている」「だから金型にこのような力がかかっている」といったことを、社内のメンバーやお客様と同じ画面を見ながら共有できる点に、大きな価値を感じています。

 

見えない鍛造現象を、見える情報として共有する。DEFORMを通じて、鍛造技術を次の世代へ伝え、社内外で共有できる知見をさらに増やしていきたいと考えています。

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導入企業様の紹介

冷間鍛造から後工程まで一貫対応する特殊精密部品メーカー

株式會社月星製作所様

株式會社月星製作所様は、冷間鍛造をコア技術に、自動車や産業機械向けの特殊精密部品を手がけるメーカー様です。
主なお客様はTier1メーカーであり、近年ではブレーキ関連部品を中心に、ABSユニットに使用される油圧回路部品リレー部品など、重要機能部品の製造にも力を入れています。

 

月星製作所様の社屋外観写真

製品の多くは、冷間鍛造をベースに、切削加工や表面処理などを組み合わせて完成品へと仕上げられます。

同社において、図面をいただいた段階から、試作、量産、品質管理、生産サポートまでを一貫して対応。めっきや熱処理など一部工程はグループ会社とも連携しながら、品質に対する窓口は同社が一本化して担っています。

 

量産品質を支える独自設備

また、生産に必要な設備を自社で設計・製作できる点も大きな特徴です。

例えば、タップ加工を行う専用設備や、熱処理後に生じる製品の曲がりを自動で測定・矯正する装置など、量産品質を支える独自設備を社内で開発しています。
市販設備を導入する場合でも、供給装置や排出機構などの付帯設備を自社で設計し、ライン全体を最適化できる体制があります。

冷間鍛造品をつくるだけでなく、金型設計、設備設計、試作、量産、品質保証までを一貫して支える。その総合力こそが、月星製作所様のものづくりを支える大きな強みです。

 

【株式会社ヤマナカゴーキンを知る】
> DEFORM日本総販売代理店「株式会社ヤマナカゴーキン」の会社情報を見る

【関連記事】
> 鍛造工程に関する「VA・VE提案」記事の一覧を見る

担当者からのひとこと

From Yamanaka Eng staff

S.A

㈱ヤマナカゴーキン 営業部 主任

月星製作所様とは長年お付き合いをさせていただいており、開発部 製品開発課 課長のY.M様とも継続的にやり取りを重ねてまいりました。

担当営業として特に感じているのは、Y.M様のDEFORM活用に対する熱意です。近年はY.M様が中心となり、「社内にもっとCAEを定着させる」という方針を推進されており、その姿勢にいつも大きな刺激を受けています。
その具体的な取り組みとして、同社では毎年のように新人の方にも弊社のDEFORMトレーニングへご参加いただいています。担当者ご自身が受け持つ案件に対し、設計内容を自らシミュレーションで検証することで、個々のスキルアップだけでなく、会社全体の技術レベル向上にもつなげようとされています。

また、DEFORMをお客様との認識共有にも活用されている点が大変参考になります。二次元図面だけでは伝わりにくい内容を、シミュレーション結果や3Dプリンターによる実寸大モデルで補い、技術者と調達・購買部門の方との認識をそろえる工夫をされています。
こうした月星製作所様の実践的なDEFORM活用は、私たちとしても学ぶところが多い取り組みです。今後もCAE活用がさらに社内へ広がり、設計・開発の現場に根づいていくよう、営業・CAEチーム一丸となってサポートしてまいります。

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