熱処理 住友重機械工業株式会社様

熱処理での変形を可視化し、鋼材の“取り代”を半減!DEFORMで実現する熱処理CAE活用事例

熱処理での変形を可視化し、鋼材の取り代を半減!DEFORMで実現する熱処理CAE活用事例

住友重機械工業株式会社

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社名
住友重機械工業株式会社
創業
1888年11月20日
設立
1934年11月1日
本社
〒141-6025東京都品川区大崎2丁目1番1号(ThinkPark Tower)
従業員数
連結:25,123名(2025年12月31日現在)
導入時期
2021年
ライセンス
DEFORM-Premium Package
主な活用機能
熱処理変形・組織変化の可視化と工程条件検討への活用

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DEFORM導入の概要

研削代の適正化に繋がる熱処理CAE活用事例

導入前の課題

  • 熱処理変形を見越した余分な仕上げ代により、材料費のロスが発生
  • 後加工の研削で大きく削り込むため、仕上げ工数も増加
  • 熱処理中の温度変化や相変態が見えず、変形要因の特定が難解

導入後の成果

  • 鋼材の取り代を“半分まで削減”し、研削代の適正化を実現
  • 試作・再試作の回数を抑え、熱処理工程の検討効率が向上
  • 独自の研究設備で得た実データを活用し、より実機に近い解析を実現

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導入の背景

熱処理CAEを前進させる解析環境との出会い

鍛造プレス機の開発テーマをきっかけに、DEFORM導入を検討

住友重機械工業株式会社様がDEFORMの導入を検討し始めたのは、今から67年ほど前のことでした。
もともとのきっかけは熱処理事業ではなく、鍛造プレス機を製造する事業部で進められていた、アルミを対象とした新たな開発テーマでした。未知の領域に対し、実機試験だけに頼るのではなく、解析シミュレーションで事前評価しながら、計画性のある試験を進めていこうという流れが、事業部内で生まれていました。

その中で同社は、DEFORMを含む複数のCAE解析ソフトを比較検討。最終的にDEFORMを選定いただくうえで、大きな要因となったのが、弊社ヤマナカゴーキンとの関係性でした。

 

ヤマナカゴーキンは、住友重機械工業様に特注して製作いただいたプレス機「1200ton多軸複動サーボプレス FPS-1200」を導入しており、鍛造金型メーカーとして豊富な金型製作ノウハウだけでなく、自社で鍛造開発ができる試作現場を持っています。同社としても、要素試験や鍛造成形試験を自社内で行うだけでなく、必要に応じて弊社にご相談いただくことも視野に入れられていました。

そのため、代理店であるヤマナカゴーキン自身が実際の鍛造開発の現場を持っているという点は、DEFORMを選ぶうえで大きなポイントでした。

 

プレス機「1200ton多軸複動サーボプレス FPS-1200」

導入前の相談でも、ヤマナカゴーキンからは迅速なレスポンスがあり、同社が進めたい解析に対して的確なサポートを受けることができました。

鍛造金型を熟知し、鍛造開発の現場を持ち、DEFORM専用のサポート体制も備えている ――
その安心感が、導入後の活用を見据えたうえでの大きな決め手となりました。

 

既存CAEソフトの開発が終了…。DEFORMでの熱処理解析へ展開

今回の主題である「熱処理解析」については、同社の技術研究所内でも、以前から解析シミュレーション活用の必要性が認識されていました。実際に10年ほど前には、DEFORMとは別のCAEソフトを導入し、熱処理工程の技術検討に活用されていました。

しかしその後、導入していたCAEソフトの開発が終了してしまい、メーカーからのサポートも受けられない状況になりました。熱処理解析は技術的に複雑で、扱う内容も専門性が高いため、ソフトウェア側の専門家によるサポートを受けられないことは、同社にとって非常に大きな課題でした。

 

そうした中、社内には、鍛造解析と熱処理解析を一連のプロセスとして扱えるCAEソフト「DEFORM」が導入されていました。当初の鍛造プレス機開発での活用もプロジェクトがひと区切りし、ライセンスを他で活用できる状況になったことから、技術研究所ではDEFORMを熱処理解析に使ってみようという流れが生まれます。

 

日本熱処理技術協会での接点がDEFORM活用への安心感に

DEFORMを熱処理解析に活用するうえで、もう一つ大きな後押しとなったのが、日本熱処理技術協会での活動でした。

住友重機械工業様は同協会に参画しており、技術研究所の担当者も研究部会に所属しています。
近年、熱処理分野ではCAE解析を業界全体で活用していこうという機運が高まっており、同協会のワーキンググループでも、熱処理CAEは重要なテーマの一つとして常に取り上げられていました。その活動の中に、ヤマナカゴーキンの「CAEチーム チーフエキスパート」であるI.Tも参加しており、担当者同士の接点がありました。

> 日本熱処理技術協会の公式ウェブサイトはこちらより

日本熱処理技術協会は、「材料と表面の改質」を掲げ、熱処理技術の研究・調査・教育、講演会や研究部会、技術情報の発信を通じて、学術・技術の発展を支える一般社団法人です。

 

こうした専門的な場での接点を通じて、熱処理CAEの可能性を共に考えながら、熱処理に精通したCAE技術者から直接サポートを受けられること。その環境が、同社の技術研究所におけるDEFORM活用を後押しする大きな要因となりました。

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導入前の課題

大型歯車における熱処理変形への対応

熱処理における複雑な変形を、CAEで明らかにしたい

住友重機械工業様が解析シミュレーションに期待していた大きな理由は、

熱処理が製品品質を左右する重要な工程でありながら、その過程で起こる現象を直接確認することが難しい

からです。
鉄鋼材料は、温度条件を調整することで硬さなどの特性を変えられる、非常に有用な材料です。中でも浸炭焼入れは、鉄鋼を使ううえで欠かせない効率的な熱処理技術として位置づけられています。

 

一方で、熱処理には「変形」という大きな課題があります。急冷時に部品全体が均一に冷えないことで温度差が生じ、さらに鉄鋼の結晶構造が変化することで内部応力が発生し、変形につながります。

最終形状が図面通りに仕上がらなければ、たとえ熱処理によって品質を高められても、製品としてはロスになってしまいます。だからこそ、熱処理中の温度変化や組織変化を可視化し、その結果として生じる変形まで評価できるDEFORMは、同社にとって大きな期待を寄せられるソフトでした。

 

DEFORM

大型歯車における、“研削代”設定の難しさ

具体的な課題の一つが、ギヤボックスの大型歯車における熱処理での寸法変化でした。
大型歯車は、製品ごとに形状や寸法が異なる一品一様の製品です。対象となる歯車のサイズも直径500mmから2,000mmほどと大きく、熱処理でどの程度の変形が生じるのかを、製品ごとに正確に見込むことは容易ではありません。

そのため従来は、実機において「仕上げ代」を大きめに確保し、熱処理で深く硬さを入れておく。そして後工程の研削加工で大きく削り込み、最終的に図面通りの形状へ合わせ込むという方法が取られていました。

この方法であれば、熱処理である程度の寸法変化が生じても、最終形状を確保できます。しかし、必要以上に研削代を見込むことは、材料歩留まりの悪化や仕上げ工程の工数増加につながります。
品質を守るための対応でありながら、工程全体としては大きなロスを伴っていたのです。

だからこそ、熱処理による寸法変化をより高い精度で予測し、研削代をできるだけ適正化するための検討が求められていました。

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導入後の成果

鋼材の“取り代”を半分まで削減

DEFORMを活用したことで、大型歯車の熱処理工程における変形対策は大きく前進しました。

もちろん、解析シミュレーションによって製品全体の変形が一度にすべて明らかになるわけではありません。しかし、熱処理工程の中で起こる現象を要素ごとに切り分けて確認することで、「どのプロセスに変形の要因が潜んでいるのか」を把握しやすくなりました。

例えば大型歯車の熱処理では、空冷プロセスにおける冷却速度差が変形に影響します。部位によって冷え方が異なれば、ワーク内に温度差が生じ、その差によって熱応力が発生し、寸法変化につながります。
さらに、温度分布の違いは、パーライト相やマルテンサイト相といった相変態の進行にも影響し、変形挙動をより複雑にします。

高周波焼入れ解析結果

こうした現象をシミュレーションで確認しながら、変形要因がありそうなプロセスを絞り込み、再加熱開始温度をはじめとした工程条件の見直しにつなげていきました。

その結果、従来は大きく見込んでいた鋼材の取り代を、最終的に半分まで削減することに成功。これにより、試作・再試作回数の低減にもつながり、工程全体の効率化にも効果が生まれています。

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熱処理CAEの高度化

実験データを活かしたDEFORM活用

住友重機械工業様では、DEFORMを導入するだけでなく、シミュレーション精度を高めるために、どのような情報を解析条件としてインプットすべきかを重視してきました。

浸炭焼入れでは、鋼の表面に炭素を浸透させた後、油中で急冷することで硬さを付与します。この急冷過程では、部位ごとの冷え方の違いや、温度変化に伴う結晶構造の変化が複雑に影響し、変形につながります。
実機に近い解析を行うには、こうした現象を把握し、シミュレーションへ反映することが欠かせません。

 

同社では、そのための実験用熱処理設備を愛媛県新居浜市の研究拠点に備えています。
さまざまな形状の試験片を実際に熱処理し、その状態を観察・計測することで、CAEシミュレーションへ入力すべきデータを検証してきました。

大型歯車のようにサイズが大きく、実機で何度も試作を行うことが難しい製品では、この取り組みが大きな意味を持ちます。研究設備で得た情報を解析条件としてDEFORMに反映することで、本番の製造工程の前に、シミュレーション上で条件検討を精度よく繰り返せるようになりました。

SHIで保有する焼入れ実験設備

試験片の仕様と実験データ(沸騰現象の観察)

DEFORMは単なる解析ソフトではなく、同社が蓄積してきた熱処理技術や実験データを活かし、より実機に近い検討を行うための重要な基盤となっています。

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QA

お客様の声

熱処理CAEの実践とDEFORMへの期待

今回の導入事例では、住友重機械工業株式会社様におけるDEFORM活用の実際について、技術本部 技術研究所 材料生産技術センター 材料加工グループ 主任研究員のA.H様とN.K様にお話をうかがいました。

改めて、DEFORMのどのような点に価値を感じていますか?

熱処理シミュレーションの分野では、DEFORMは以前からよく知られたCAEソフトだと捉えていましたし、10数年前に導入を検討していた時も候補の一つでした。
もちろん、CAEソフトによって細かな違いはありますが、熱処理シミュレーションの基本的な考え方には共通する部分があります。その中でDEFORMは、熱処理CAEの分野に深く関わってきた専門家の知見も反映されており、信頼感があります。

 

また、対応できるプロセスの幅広さも大きな魅力です。
浸炭焼入れだけでなく、高周波焼入れのような誘導加熱を伴うプロセス、窒化処理、さらに鍛造解析まで、一つのソフトの中で扱える点は非常に大きいと感じています。

実際に、当社では焼鈍工程の検討にも活用しています。加工前に組織を整えるため高温まで加熱する工程ですが、温度が一様に上がらないことで局所的に応力が発生し、割れにつながることがあります。
そうした場面でも、どのように温度を上げれば応力を抑えられるのかを、シミュレーションで検討できます。

当社では幅広い熱処理プロセスに取り組んでいますが、DEFORMはそうした多様なテーマへ展開しやすいソフトだと感じています。

 

DEFORMは現在、どのような体制で運用されていますか?

現在は、技術研究所の3名の担当者が一つのプレミアムパッケージを共有しながら、それぞれの熱処理テーマに応じてDEFORMを活用しています。

主な用途は熱処理解析で、高周波焼入れでは、熱処理による温度変化から変形までを確認するために使用しています。また、別の担当者は浸炭焼入れで活用しており、現在は窒化処理などにも活用範囲を広げています。

 

DEFORM操作中の様子

一方で、プレス機製造の事業部から、成形時にどのような応力がかかるのかといった相談が寄せられることもあります。その際は技術研究所としても協力していますが、鍛造解析は非常に専門性が高いため、内容によってはヤマナカゴーキン様に解析を依頼するケースも多くあります。

ヤマナカゴーキンのサポートはどのように感じていますか?

日本熱処理技術協会の研究部会を通じて、CAEチーム チーフエキスパートのI.T様とは以前から接点があり、DEFORMの活用でも多くのサポートをいただいています。計算が止まった際の確認など、基本的な質問にもすぐに回答いただけるため、とても相談しやすいです。

また、研究部会では、解析結果をどのようにまとめ、成果として整理していくかについても一緒に議論させていただいています。単なる操作サポートではなく、熱処理CAEをどう活用するかまで相談できる点は、大きな安心感があります。

 

ヤマナカゴーキンのサポート

導入当初も、研修や簡単な質問への回答、アルミ鍛造における内部組織変化の確認機能の使い方まで、一から丁寧に対応いただきました。
基本はメールでのやり取りですが、時には画面キャプチャを共有しながら詳細に確認できるため、実務上も非常に進めやすいサポート体制だと感じています。

 

DEFORMに今後期待することはありますか?

今後期待したいのは、各プロセスにおける解析技術のさらなる高度化です。

例えば電磁界解析については、それを専門に開発しているCAEソフトに、まだ分があると感じています。高周波焼入れのように誘導加熱を伴うプロセスでは、電磁界解析の精度や扱いやすさが、より重要になります。
ものづくりは熱処理や鍛造など、一つの工程だけで完結するものではありません。前工程の結果が後工程に引き継がれ、その積み重ねにより最終的な材料や製品がつくられていきます。

だからこそDEFORMには、熱処理・鍛造に加え、電磁界解析を含めた各プロセスの専門性をさらに高め、製造工程全体をより高い精度でつなげて解析できるような発展を期待しています。

 

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導入企業様の紹介

ものづくりを支える住友重機械工業の基盤技術

住友重機械工業株式会社様

住友重機械工業様の技術研究所は、住友重機械グループ全体の技術開発を担う研究開発組織です。先行的な要素技術基盤技術の開発を行いながら、各事業部門と連携し、商品化や事業化に向けた技術開発を進めています。

今回取材にご協力いただいた材料加工グループでは、新しい材料そのものを開発するだけでなく、既存の材料をいかに適切に選び、設計し、加工し、製品として評価するかという領域に取り組んでいます。
鉄鋼材料を中心に、必要に応じてアルミなどの非鉄材料や樹脂も含め、住友重機械グループの多様な製品づくりを材料・加工・評価の面から支えています。

 

ものづくりを支える住友重機械工業の基盤技術

特に重要な役割の一つが、製造プロセスや品質課題への対応です。
不具合が発生した場合には、どの工程に原因があるのかを分析し、評価技術を用いて問題の本質を突き止めます。そこで得られた知見は、必要に応じて研究課題として深掘りされ、工程改善や品質向上につなげられます。
実際に、制御用減速機の製造コスト削減環境負荷低減をテーマとしたプロジェクトでは、関連事業部と連携しながら、材料選定や熱処理条件、評価技術の観点から改善の可能性を検討しています。各事業部が持つ製品開発の知見に、技術研究所が持つ材料・プロセス・評価の基盤技術を掛け合わせることで、より良いものづくりへとつなげています。

 

材料に関する課題を起点に、製造プロセス、品質評価、コスト改善、環境負荷低減まで踏み込む。技術研究所は、住友重機械グループのものづくりを全社横断で支える重要な存在です。

 

【株式会社ヤマナカゴーキンを知る】
> DEFORM日本総販売代理店「株式会社ヤマナカゴーキン」の会社情報を見る

【関連記事】
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担当者からのひとこと

From Yamanaka Eng staff

S.A

㈱ヤマナカゴーキン 営業部 主任

住友重機械工業様は、複雑な熱処理現象に対して、実験設備を駆使した実測とDEFORMシミュレーションを繰り返し、地道に検証を重ねてこられています。
担当営業として特に印象的なのは、その取り組みを実際の成果につなげられている点です。大型製品を扱う同社にとって、鋼材価格が高騰する中での取り代削減は重要な課題です。CAEシミュレーションの技術を積極的に活用し、着実に成果を上げられている姿勢には、大きな刺激を受けています。

また、弊社CAEチームのチーフエキスパートI.Tと、住友重機械工業様のA.H様は、熱処理技術協会での出会いをきっかけに交流を深め、現在も研究部会で協力しながら熱処理シミュレーション技術の発展に取り組んでいます。
こうした技術者同士のつながりから、DEFORMが実際の製造現場で活用され、成果へと結びついていることを大変うれしく感じています。今後もこの貴重な関係を大切にしながら、営業・CAEチーム一丸となってサポートして参ります。

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