鍛造

執筆者 : E.Y ㈱ヤマナカゴーキン フィールドセールス チーフエキスパート

有限要素法から読み解くCAEの真価 ― 不具合予測と経営成果を導く「DEFORM」活用

有限要素法から読み解くCAEの真価 ― 不具合予測と経営成果を導く「DEFORM」活用

CAEソフトウェア「DEFORM」は、有限要素法に基づき、材料の変形や応力、温度といった製造現象をコンピュータ上で再現します。

本稿では、有限要素法の基本的な考え方と、CAEによって得られる情報が製品評価や将来予測、さらには経営判断にどのように活用されるのかを、わかりやすく解説します。

 

有限要素法から理解するCAEの基本原理

CAEを理解するうえで、まず押さえておきたいのが、シミュレーションの中核となる計算手法「有限要素法(Finite Element Method)」です。

 

有限要素法(Finite Element Method)

有限要素法とは、任意の形状を持つ物体に対して成り立つ微分方程式を、数値的に解くための方法です。

複雑な形状や現象をそのまま解析することは困難ですが、対象となる領域は、メッシュと呼ばれる小さな要素の集合に分割され、要素同士が接続する「節点(ノード)」における力や変位の関係を数式として整理します。

それらを全体として統合し、物体全体の力のつり合いを満たす「解」を求めることで、内部で生じる「変形」や「応力」の分布を計算上で再現します。

 

DEFORMにおける有限要素法の役割

全体領域での平衡条件から各要素での平衡条件

DEFORMでは、この有限要素法を用いて、例えば鍛造成形時では、材料へ加わる荷重や金型による拘束条件を設定し、各節点での力のつり合いと変形挙動を数値的に解いています。
金型形状に拘束されたブランク材へ、外部から押しつぶす力が加わると、材料は内部で流動しながら形状を変化させていきます。

こうした現象を、実機試験を行う前にコンピュータ上で予測できる点に、CAE活用の本質があります。

 

メッシュ分割と計算精度の関係

目的に応じた最適なメッシュ設定

有限要素法では、要素を細かく分割するほど現象の再現精度は高まる一方で、解くべき方程式の数が増えるため、計算負荷は大きくなります。つまり、

・精度を高めるほど計算量は増加し、解析時間も多く必要になる

という関係があり、目的に応じた最適なメッシュ設定が、実務におけるCAE活用の重要なポイントとなります。

 

有限要素解析にて取得される一次情報と工程評価

CAEによるシミュレーション計算を実行することで、解析対象の内部で起きている現象を、「数値データ」として直接取得できます。これらは、計算結果として得られる「一次情報」であり、実機評価を行う前に把握できる重要な基礎データとなります。

具体的には、次のような情報を取得できます。

CAEで直接把握できる4つの一次情報

① 状態に関する情報

鍛造品内部に発生する応力分布、ひずみや変形量、製品のダメージ、温度変化など、製品品質や破損リスクに直結する内部状態を可視化できます。

② 力に関する情報

節点(ノード)に作用する力、単位面積当たりの面圧、成形中における荷重の推移などを把握でき、必要な成形荷重や設備能力の検証が可能になります。

変形状態と荷重(ストローク線図)

③ 材料の流れ

材料がどの方向へ、どの速度で流動しているかを確認できるほか、特定位置を追跡するポイントトラッキングにより、成形過程における局所的な挙動まで解析できます。

④ その他

変形過程をアニメーションとして可視化することで、時間変化を伴う現象の理解も容易になります。

接触面圧分布と最大主応力分布

CAEがもたらす実機試験前の評価判断

これらの一次情報を活用することで、

・製品規格を満たしているか
・金型に過大な負荷がかからないか
・保有プレス機の許容荷重内で成形可能か

といった、製造可否や工程成立性の評価を、実機試験に先立って行うことができます。
すなわちCAEは、単に現象を可視化するツールではなく、製品評価・工程評価を支える判断基盤として機能します。

 

CAEがもたらす実機試験前の評価判断

 

CAE解析から導かれる二次情報と不具合予測

CAEによって得られる一次情報は、それ単体でも内部状態を可視化する有効なデータですが、実験データ・基礎データ・現場の実測データと組み合わせることで、さらに価値の高い「二次情報」へと発展します。

例えば、解析で得られる製品のダメージ値に対して、実際の成形試験で「この値を超えると割れが発生する」という実験結果を対応付けることで、「割れ発生」の可否を事前に評価できるようになります。

 

同様に、金型に作用する応力と実際の使用寿命の関係を現場データと結び付けることで、「金型寿命」の予測も可能になります。
特定の応力水準において数万ショットの寿命が見込まれるかどうかを、実機試験に頼らず解析段階で見通せる点は、製造計画やコスト管理に大きく寄与します。

CAE解析から導かれる二次情報

このように、一次情報(解析結果)と実機データ(現実の検証結果)を統合することで、CAEは単なる可視化ツールを超え、製造現場における

・不具合発生の予測
・寿命の見通し
・工程成立性の判断

といった、実践的な予測情報=二次情報を提供します。

 

経営成果につながるCAE活用とDEFORM

CAEによって得られる一次情報を基に、実験データや現場データを組み合わせて二次情報へと高めることで、これまで試作や経験に依存していた製造判断を、定量的な根拠に基づき事前に行うことが可能になります。その結果、

・試作回数の削減
・金型コストの最適化
・立上げ期間の短縮

といった、経営成果に直結する改善へとつながっていきます。

製造業の意思決定を支えるCAEという情報基盤

CAEはもはや、設計・生産技術部門だけの解析ツールではありません。製造現場の現象を可視化し、将来を予測し、最適な判断を導く――
製造業の意思決定を支える情報基盤としての役割を担い始めています。

こうしたCAE活用を実現する具体的なソリューションの一つが、鍛造・塑性加工解析に特化したCAEソフトウェア「DEFORM」です。

 

多様な設計案を数値データとして蓄積

もし現在、試作回数の増加や金型寿命、成形不良といった課題に直面されているのであれば、CAEの活用は、その解決に向けた有力な選択肢となり得ます。
まずは、CAE活用の可能性やDEFORMによる課題解決の方法について、ヤマナカゴーキンまでぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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このシミュレーションテーマでよくある質問

DEFORMの操作方法などについて問合せたいときは、どこに連絡すれば良いでしょうか?

Eメールや電話で受け付けております。何かございましたら、いつでもご連絡下さい。

E-Mail:cae@yamanaka-eng.co.jp
TEL:043-498-3447 (平日:10:00~17:30)※年末年始等弊社休業日を除く

DEFORMを使いこなすためのサービスを教えてください

下記のサービスをご用意しております。

 

  • ユーザー向けのトレーニング(3D、ポスト)
  • ユーザー専用サイトに掲載されているFAQ、マニュアル、チュートリアル
  • 電話、メールによるサポートサービス

年間使用契約に比べ、永久ライセンス(買い取り型)は、どのようなメリットがありますか?

次年度からの更新費用が保守サービス料のみとなり、年間契約に比べ、少ない費用で更新できます。
長い目で見ると、費用的にも割安になります。

 

ライセンスについての詳しい内容は、下記ページよりご確認ください。

■ 導入プランページ
DEFORM製品8つのラインナップと2つのライセンス形態

価格について、教えてください。

お客様の解析の用途、目的に応じて、さまざまなライセンス形態をご用意しております。

導入にかかる費用に関しては、お客様からご希望の内容や予算などをヒアリングしたうえで、最適なプランをご提案させていただきます。
お問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。

DEFORMで、どのような解析ができますか?

冷間・温間・熱間鍛造、押出し、引抜き、板材成形、破断解析、圧延、ロール成形、リングローリングなどが解析可能です。
※解析内容により、必要なテンプレートを選択する必要があります。

・3Dのテンプレート(鍛造、切削、コギング、圧延、押出し、フローフォーミング)
・2Dのテンプレート(鍛造、切削)

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E.Y

㈱ヤマナカゴーキン フィールドセールス チーフエキスパート

入社以来20年、常にCAEソフト「DEFORM」と向き合ってきました。㈱ヤマナカゴーキンで「社内の全設計案件をDEFORMで解析するぞ!」と社を挙げたプロジェクトが始動した年に入社し、担当として年間百件もの解析をしたのが始まりです。
そこからは、まさにDEFORM一色の日々。後輩への技術継承を経てからは、営業の最前線へ。お客様へのプレゼン、困りごとのヒアリング、解析と報告、さらにはCAEトレーニングまで ―― すべてを担い、走り続けてきました。
その後、米国の開発会社SFTCでの研修や、タイでの海外赴任も経験。製品の量産現場にも立ち会い、現地スタッフと共に汗を流しながら、解析だけでは得られない“ものづくりの現実”を肌で学びました。

解析も販売も、現場も知る人間だからこそできる提案がある ―― 。その信念を胸に、今日もお客様のリアルな課題に真正面から向き合っています。

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