執筆者 : E.Y ㈱ヤマナカゴーキン フィールドセールス チーフエキスパート
積層順で変わる“せん断”挙動をDEFORMで可視化。CAEによる打ち抜きアニメーション
積層材の打ち抜きでは、加工後の切断形状だけでなく、加工中に各層の内部でどのような変形や分離が起きているかを把握することが重要です。特に、異なる材料を重ねた場合、素材の硬さや変形しやすさ、積層する順番によって、せん断時の挙動は変化します。
本事例では、ステンレス、銅、アルミの3種類のシート材を積層し、打ち抜き時の各材料の動きをDEFORMで可視化しました。
積層順を変えた2つのパターンを比較し、異材積層材におけるせん断挙動の違いをアニメーションで確認します。
目次
異材積層材の打ち抜き挙動をDEFORMで可視化
DEFORMでは、これまでも一枚のシート材を対象とした打ち抜きシミュレーションに対応してきました。本事例では、その応用として、材質の異なる複数のシート材を積層した状態で打ち抜いた場合に、各材料がシミュレーション上でどのような挙動を示すのかを試験評価しました。

ステンレス・銅・アルミを重ねた3層材を解析
対象としたのは、ステンレス、銅、アルミの3種類で構成される積層材です。各材料は直径φ40.0mm、板厚3.0mmとし、3枚を重ねた状態でパンチによる打ち抜き解析を実施しました。
今回の目的は、異なる材質を組み合わせた積層材において、材料の並び順によって打ち抜き時の変形や抜け方にどのような違いが生じるのかを確認することです。
材料の重ね方を変え、打ち抜き時の違いを比較
解析では、
【パターン1】上から「ステンレス、銅、アルミ」と重ねたパターン
【パターン2】上から「アルミ、銅、ステンレス」と重ねたパターン
を設定しました。
硬い材料を上に配置するか、下に配置するかによって、パンチ荷重の伝わり方が変わり、各層の変形や動き方に違いが生じる可能性があります。


本事例は、そうした異材積層材の打ち抜き挙動を、DEFORMのアニメーション上で視覚的に確認できることを示した解析事例です。
実機では確認しにくい各材料の動きや、打ち抜き過程における形状変化を可視化することで、積層材の加工性検討や、研究開発段階での現象理解に役立てることができます。
異材積層材のせん断挙動のCAEアニメーション
上側にステンレスを配置したせん断シミュレーション
上から「ステンレス、銅、アルミ」と重ねたパターンでは、パンチの進行に合わせて各層が内側へ変形しながら、比較的まとまった状態でせん断されていく様子が確認できます。
最上層のステンレスは、パンチによって一度沈み込み、周辺部にダレが生じた後、一定のところで分離していきます。
中間層の銅、下層のアルミも、その動きに追従しながら変形していきますが、最下層のアルミは比較的スムーズに抜けており、板厚方向の大きな変化は少ないように見えます。
上側にアルミを配置したせん断シミュレーション
上から「アルミ、銅、ステンレス」と重ねたパターンでは、最上層のアルミがパンチの動きに合わせて大きく伸び、内側へ引きずり込まれるように変形していく様子が見られます。
アルミが大きく変形する一方で、下層のステンレスは変形しにくい状態で残るため、中間層の銅が上下から挟まれ、押しつぶされるような挙動を示していると考えられます。
同じ材料構成であっても、重ねる順番によって、せん断時の各層の動き方や抜け方に違いが表れることが分かります。
CAEで積層材内部のせん断挙動を視覚的に把握
このようにDEFORMを活用することで、異なる材料を重ねた積層材を打ち抜いた際、各層がどのように変形し、どのように分離していくのかをアニメーションで確認できます。

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実機では、加工後の外観や断面から結果を確認することはできても、せん断加工中に材料内部で起きている動きを連続的に把握することは容易ではありません。
シミュレーション上で挙動を可視化することで、積層順による違いや、材料ごとの変形のしやすさが打ち抜き挙動に与える影響を、より直感的に理解できます。
ものづくり現場と研究開発を支えるDEFORMのCAEシミュレーション
DEFORMでは、単一材料だけでなく、今回のように複数の変形体を扱うシミュレーションにも対応しています。異なる材料を重ねてせん断加工を行う場合、素材の種類や板厚、積層する順番によって、切断後の形状や各材料の変形の仕方が変わる可能性があります。
ものづくり現場では、電池部材、電子部品、モーター関連部品、クラッド材、複合材、ラミネート構造の薄板部品など、異材を重ねた状態で加工性を確認したい場面が考えられます。
打ち抜き後のバリ、層間のずれ、剥離、割れ、変形残りなどを検討するうえでも、事前にシミュレーションを挟むことは有効です。

DEFORMは製造現場だけでなく、研究機関や大学でも数多く活用されています。
実際の量産条件の最適化だけでなく、異材積層材のせん断メカニズムを理解したい、材料ごとの変形挙動の違いを比較したい、実験では観察しにくい内部状態を可視化したいといった、研究開発段階の検証にも大いに活用できます。
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> CAEでプレス加工の“穴精度不良”を可視化|金型たわみに起因する楕円化の再現と対策
このシミュレーションテーマでよくある質問
素材の異方性を踏まえた解析はできますか?
はい、可能です。
DEFORMでは、ヒルの二次降伏関数(Hill's yield function)やランクフォード係数(r値)をはじめとした、各種異方性降伏条件モデルに対応しています。
これにより、圧延方向による材料特性の違いを考慮した、より現実に即した曲げ加工シミュレーションが行えます。

板材の割れ評価ができますか?
はい、可能です。
DEFORMでは、板材成形で広く用いられるCockcroft & Latham損傷条件や、成形限界線図(FLD)を用いた割れ評価に対応しています。
これにより、曲げ部やR部などで発生しやすい局所的なひずみ集中や割れリスクを事前に把握でき、材料選定や金型形状の検討、加工条件の最適化に活用できます。

DEFROMは大学機関で導入できますか?
教育機関での研究、授業での利用を目的としたアカデミックラインセスをご用意しております。
価格や詳しい内容につきましては、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
年間使用契約に比べ、永久ライセンス(買い取り型)は、どのようなメリットがありますか?
次年度からの更新費用が保守サービス料のみとなり、年間契約に比べ、少ない費用で更新できます。
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ライセンスについての詳しい内容は、下記ページよりご確認ください。
■ 導入プランページ
DEFORM製品8つのラインナップと2つのライセンス形態


